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chapter4

LastGuardianIIStarting Stars

chapter4「Resistance」

レドナ「来い!!クァルファーレの黒衣っ!!」

切り札カードの名を叫ぶレドナ。
神下高校の制服が光となり弾ける。
それに驚き、シュレスとシルビアは後ろに飛ぶ。
一瞬のまばゆい光の後には、レドナにクァルファーレの黒衣が纏われていた。

シュレス「くっ、リーンジャケットか」
シルビア「あー!お前、卑怯だ!!」
レドナ「一言言わせてくれたことには感謝してやるよ!!」

咄嗟に横に低く飛び、グリュンヒルEXを回収する。
即座にレムリアブレッドをグリュンヒルEXに装着させ、弾丸をロードする。

シュレス「させるかっ!アンカーショット!!」

シュレスの持つ銀色の剣の先端が割れ、鞭状の武器となる。
そして、その鞭はグリュンヒルEXに巻きつこうとする。
しかし、レドナも抵抗し、グリュンヒルEXでその鞭を弾き返した。
弾丸をロードし、レムリアを佩びたグリュンヒルEXにシュレスの武器は敗北した。
次にレドナは、再び後ろに飛び、2人から距離を置いた。

レドナ(初っ端の戦闘でコイツを使うとはな・・・)

グリュンヒルEXから、弾丸が排出される。
その数、4個――。
今まで見たことないほど、緑色の輝きを放つ。

レドナ「豪炎雨!ブラストレインッ!!!」

グリュンヒルの刃自体から、多数の魔力ビームが空に向かって打ち上げられる。
次の瞬間、一旦は夜空に消えた何十本もの閃光は、シュレスとシルビア目掛けて急降下してきた。

シュレス「シルビア、防御フィールド内へ!」

無言で頷き、シルビアはシュレスの傍に急いだ。
シュレスは、首にかけていたペンダントを握り締める。
すると、先ほどシルビアが使ったものと同じ形式の魔法陣が形成された。
しかし、レムリアの篭った弾丸を4発も使った攻撃も伊達ではなかった。
フィールド形成4秒後、そのフィールドの魔法陣に亀裂が入る。
さらにそれから2秒後、フィールドが完全に崩壊した。
だが、そのときには既に宙に撃ったブラストレインは全弾尽きていた。

シルビア「ちっ!また煙で見えねぇー!」
シュレス「さすがはレドナ、単に攻撃力で押すだけでなく戦術レベルも高度だ・・・。
     しかしっ!!」

シュレスは煙の真上に向かって、銀色の剣を突き出す。
ガツン、と鈍い音が響き渡る。
銀色の剣の先には、漆黒の剣の刃が当たっていた。
レドナは、煙に紛れ真上に飛んでいたのだ。

レドナ(真上から弾丸を投げて反対方向に飛ぶ戦法を読まれた!?)

シュレス「悪いが、我等にもベルゼルガとしての誇りがある。
     ここで易々と負けるわけにはいかない!!」

剣を握る両手に一層力が入る。
不意を突かれた状態で握ったグリュンヒルEXでは防ぎきれない。
逆に、握りなおしてもその隙を突かれる。
瞬時、シュレスの銀色の剣が、再び鞭の形になる。
グリュンヒルEXに、それは幾重にも巻きついた。

シュレス「今だ、シルビア!」
シルビア「あいよっ!!」

シルビアが、フィトラファイゼンを構え、高く飛ぶ。
高度がレドナと同じ位置に達する。
グリュンヒルEXで防ごうとするが、シュレスの剣に取り押さえられ、動かせない。

その時、携帯のアラーム音が鳴り響いた。
それは、シュレスの物であった。
一瞬、シュレスの剣を握る力が弱まった。
それを見逃さず、レドナは力任せにグリュンヒルEXを振り上げた。
すぐにレドナは重力に身を任せ降下し、シルビアの攻撃を回避する。

シュレス「シルビア、時間だ」
シルビア「ちぇっ!もう少しで片付けられたのによっ!!」

バツの悪そうな顔をして、シルビアが言った。
どうやら、その"時間"は彼らにとっては重要なことらしい。
証拠として、もう少しで倒せそうなレドナを見逃している。

シュレス「今日はここで退いておく。
     また何れお前とは再び剣を交えることがあるだろう」
シルビア「それまでくたばんじゃねーぞ!!」

それだけを言い残し、2人は戦闘区域から出て行った。
レドナにしては、ありがたいことであり、それゆえに深追いもしなかった。
今追うと、逆に返り討ちにあう可能性のほうが高い。
いや、確実と言っていいほどに。

レドナ「戦闘区域、解除・・・」

呟くように言った、
マプティラズディが反応し、すぐに魔法陣は収縮し、時間が地球とリンクした。
同時に、レドナの服も神下高校の制服へと戻る。

レドナ「ベルゼルガ・・・デモンアルター・・・か」

話では、ベルゼルガは3人。
ということは、後1人いるということ。
そして、彼女らの狙いは自分自身にある何か。
自分自身にあり、自分自身では分からないもの。
それがある限り、神下市は再び戦場となってしまう。
その事実を深く感じたレドナは、しばらくその場に突っ立っていた――。


PM9:23
反エクステンド機関ステーション。

???「さっきの魔力反応からすると、2人は例のターゲットとみた」

電子モニターが明滅する部屋の中央で、声の低い男が呟くように言う。
しかし、その声はなぜか響いていた。

カエデ「で、私らにアイツら倒して、デモンなんとかを取って来いってわけ?」

赤く長い髪のツインテールの少女、反エクステンド機関のエース、カエデが問う。

ロクサス「それなりにこっちも対策を打たないと、並の相手じゃなさそうだな・・・」

ブロンズの髪の少年、カエデと行動を共にするロクサスが呟く。
明滅するモニターに、シュレスとシルビアの攻撃パターンが現れていた。

???「調べによれば、ベルゼルガは3人だ。
    こちらの駒はお前達を含む5人・・・・」
カエデ「もしかして、3人って――」
???「あぁ、カース、エルザ、クロムだ」

カエデとロクサスの顔が明るくなる。
どうやら、その3人は2人にとって大きな存在であるらしい。

ロクサス「3人に会うのも、1年とちょっとぶりだなぁ~」
カエデ「私達5人が揃えば、そのベルなんとかも終ったね。
    この任務、解決済みにしといていいよ、ザルバ」
ザルバ「ふっ・・・そうなるといいのだがな・・・」

モニターを見ながら、ザルバは呟いた。
そして、2人に悟られぬよう、フッと笑った。


翌日、PM1:30。
神下高校は、いつもと同じく昼休みの時間であった。
一部男子生徒は外ではしゃぎ、女子はたいていクラスで雑談。
少なくはない人数の男子は教室で暴れ、数人の女子は持ち込み可能の携帯をイジる。
そんな中、レドナと真は昼食を取り終え、2人で廊下でレドナのグレートアップした携帯を見ていた。

真「それにしても、暁の携帯も一夜でかなりバージョンアップしてるよなぁ」

うらやましそうな目で、真がレドナの携帯の明滅するホログラムモニターを見る。
バッテリーを変えただけで、異世界との通信及び、現在の異世界の状況把握。
画面などは、ホログラムで浮き出るようになり、立体資料も見ることが可能となった。
まさに、外見は現在の携帯、中身は数千年先の携帯といった感じだ。

レドナ「たしかに高性能にはなったけど、正直何処に何があるかとかまだサッパリ」
真「機械にも強い暁からの言葉ってことは、俺は絶対使えないな」

苦笑しながら真が言う。
その時、前から2人の男と女の3年生徒が歩いてきた。
急いで、明滅立体モニターを消して、画面を普通の携帯と変哲のないようにする。

???「おや、こんな所で2人で携帯を扱っているとは、珍しい光景だな」

いかにも、怪しい事をしているだろ、と遠まわしに言うように3年の男子生徒が言う。
その声には何処かあざ笑うようなものが隠れていた。
2人が見上げると、そこには最悪の人物が立っていた。

レドナ(うわ、3年の風紀委員長、通称"冷酷鬼の具現化"こと海藤 宗佑・・・)
真(もういっちょは、3年の風紀委員副長、通称"自立西洋人形"こと桜花 沙唯ちゃん・・・)

2人は同時に同じことを思った。
無論、これは誰でも思うことである。
3年の風紀委員長、海藤 宗佑、通称"冷酷鬼の具現化"。
学校の規則を守るためには手段を選ばないような、憎たらしい男である。
唯一のとりえとしては、顔がいいが、性格故に女子男子双方から嫌われる。
もう1人の3年風紀委員副長、桜花 沙唯、通称"自立西洋人形"。
あまりにも無口で、ほんの少ししかしゃべらない。
しかし、意外と可愛く、お嬢様のようで海藤とは一転し、皆に好かれている。
2人の共通点といえば、風紀委員所属、成績優秀ということである。

レドナ「そちらこそ、学校廊下を仲良く2人で徘徊とは、ご苦労さんです」
真「お疲れさまー!さ、戻ってOKっすよ~」

すぐに、追いやろうと2人は暗黙の了解でタッグを組んだ。

宗佑「そうはいかないな、鳳覇君、その携帯を見せてもらえるかい?」
沙唯「・・・・・」
レドナ「個人情報が漏れるので、遠慮させてもらいます」

丁寧に、レドナは断った。
しかし、相手も簡単に引き下がらないだろうと思っていた。
噂によると、成績優秀のレドナを彼は毛嫌いしているらしい。

真「だいたい、人の携帯見る奴なんて最低っすよ?」
宗佑「それでは、さっきの行為についてはどう説明する?
   2人で仲良く画面を覗いていたようだが?」
レドナ「あれは俺が許可を出しました、以上。
    ・・・・っで、桜花先輩の意見は?」

唐突に、あまりにも無表情で黙っている沙唯の意見を求めた。
極わずかな希望であったが、彼女がレドナに賛成すれば多数決で決定するという選択肢が生まれる。
この際、真は強制的にレドナ派になるため、3対1という考えは消しておく。

沙唯「・・・・・特になにもありません」

無表情に、淡々とそれだけ言う。
変化とあれば、時々瞬きするだけの顔に、何か裏があるのではと無駄な推測を行ってしまうほどだ。

宗佑「選択肢で乗り切ろうという選択肢は握りつぶされたな」
真「とかいって、桜花先輩に前々から仕組んでんじゃないっすかぁ?」

ニヤリと笑って、真が言う。

沙唯「・・・・・そのようなことはありません。
   これは鳳覇君が求めた、私の意見です」

こちらもこちらで、淡々と一つ一つの質問に答える。
この調子でいくと、事前の仕組みの線はないようだ。
だが、今はそれが判明し、どうこう変わる状況でないことをレドナは理解していた。

レドナ「たしかにそうですね。
    では、どうして、俺の携帯を見る必要があるんですか?」
宗佑「あまりにも2人でこんな廊下で1つの携帯をじっと見るのは不思議だ。
   わいせつな画像などを見ている可能性があるため、それを確認するためだ」
真「それって、自分も見たいってことっすか?」

笑いを堪えながら真が言う。
その間、レドナは携帯を操作し、画像フォルダを開いた。

レドナ「この中が全部の画像。
    その十字キーを上下に操作すれば全部見れます」
宗佑「説明つきとは、君の親切には感謝するよ」

そういって、レドナから携帯を受け取った。

レドナ「画面がこちらにも見えるようにしてもらえますか?
    別にやらしい画像があれば、そこで俺たちを拘束するなりできるでしょ?」
宗佑「・・・・いいだろう」

レドナの考えはこうである。
あまりにも見られたくないという意識を出せば、逆に疑われる。
それならば、相手が何を疑っているのか先に把握する。
そして、それだけを見せる。
それ以外のところを見ようとするならば、目的を黙秘していたとして、その理由を追求することができる。

そして、レドナと宗佑と真、3人で見る画像は、いたって普通なものだった。
真から貰った、おもしろ画像と、香澄から貰った香澄力作の待ちうけ画像だけだった。

レドナ「これで満足ですか?」
宗佑「まぁ、いいだろう。
   では、これは没収とさせてもらう」

そういって、宗佑はその携帯の電源を切り、自分のポケットへと入れた。

レドナ「ちょ、こ、困ります!!」
真「ふざけんなよ!携帯持込はOKだろ?」

レドナ(ったく、このキザなバカめ!
    強引な行動にでやがって・・・・・っ!!!)

宗佑「明日から、学校への携帯の持込を禁止する。
   風紀委員からの要望といえば、学校もすんなり事を飲んでくれるからな・・・」

一層声に憎たらしさが増す。
レドナは奥歯をかみ締めた。
ここで焦りを出せば、自分が負ける。

レドナ「明日からなら、現段階では俺の携帯はセーフなはずです」
宗佑「もし持ち込んだら、どうなるかを思い知らせるためさ」
沙唯「・・・・・」

相変わらず、気取って話す宗佑をよそに、沙唯は黙っていた。
無表情で、ここまでこられると困るほどに。

レドナ「親からの連絡が来た場合などはどうするんですか?」
宗佑「その時は、自分の犯した過ちを悔やむんだな」

その言葉を聞いた瞬間、レドナは反逆に出た。

レドナ「今まで学校側で了承されていたことが、一瞬で過ちに変わる?
    お前、俺に抵抗できないから強制的な行動にでてるんじゃねーのか?」
宗佑「・・・・っ!!」
レドナ「答えろよ、連絡が来た場合どーするのかをよ」

真紅の瞳が宗佑を睨みつける。
その隣で、真はなにやら面白い展開を期待しているらしく、目を輝かせていた。

宗佑「上級生に対して、口の利き方がなってないようだな。
   では、携帯はそのことに対しての罰ということにしておこう。
   戻るぞ、桜花君」
沙唯「・・・・・」

回れ右をして、来た道を戻る2人。

真「あらら~、アイツもバカだね。
  というわけで暁さん、何か策はおありで?」

興味心身で、真が訊く。

レドナ「たしか、没収物は風紀委員室の金庫だよな」
真「あぁ、そうだけど」
レドナ「真、お前っていう友達がいて、本当に感謝してるよ」

その言葉の意味を理解した真は、ポケットから鍵を取り出した。

真「おう、困った時はお互い様だぜ!
  この銅色のが風紀委員室の合鍵、こっちの銀色が金庫の合鍵」

そう、真は何度も風紀委員の2人(正確には宗佑1人だが)にしょっちゅう没収を喰らっている。
しかし、なぜか放課後には没収された物品は真の手元にあった。
それは、以前真が"いつか来るピンチのため"という理由で学校に忍び込み、全ての鍵の合鍵を作っていた。
そして、授業中トイレに行くフリをして、風紀委員室に行って、合鍵を使い奪還する。
無論、これを知っているのはレドナと真だけである。
だからこそできる奪還作戦。
感情的に、レドナと真はお互い拳をあわせて、レドナは真に感謝を、真はレドナに健闘を祈った。

昼休みが終り、5時間目の授業。
作戦通り、レドナは腹痛を訴え、トイレに行くふりをした。
足音を立てずに廊下を疾走する。
身を低くし、窓からばれないように配慮する。
監視カメラなどは一切ついていないので、階段などは全段飛び越しで下りた。

レドナ(ここが風紀委員室か)

教室のドアの上についているプレートに、書かれているので間違いないだろう。
合鍵を使い、入ろうとしたとき――

カエデ「なにやってんの?」
レドナ「うわぁっ!」

あまりにも予想外の出来事で、レドナは慌て驚きの声を上げた。
見ると、カエデが不思議そうにこっちを見ていた。

レドナ「か、カエデか・・・。
    びっくりさせんなよ・・・・」
カエデ「ははっ、久々にレドナの拍子抜けした声聞けたかも」

カエデ・ハーオウム、通常時は木下 楓という名を使い、神下高校の2年生でいる。
そのことはレドナは知っていたが、あまり学年同士の交流はないため、会う機会も少なかった。
何よりも、2人はエクステンドと反エクステンドのガーディアン。
あまり親しくしていると、裏切り行為とみなされる。

カエデ「で、なにやってんのかな?」
レドナ「実は・・・・」

レドナは、さっきの一連のことを要点だけまとめて言った。
カエデにしても、裏の世界の存在を知られてはまずい立場なので、奪還については大変そうだね、としか言わなかった。
裏の世界のことに関与しなくても、他の人に密告することはないだろうが。

レドナ「そういうカエデはなにやってんだ?」
カエデ「ん~?
    授業が面倒だからトイレ行くフリしてスリル満点の学校散歩。
    でも、いい暇潰しが見つかったよ」
レドナ「同行は構わないけど、ばれるような真似はすんなよ」
カエデ「分かってるって!」

にっこり笑って言うカエデ。
それから2人は風紀委員室に入った。

レドナ「とりあえず、金庫を探してくれ」
カエデ「りょーかーい」

風紀委員室は薄暗く、なにやら書類などが大量にあった。
あまり、それに触らないように金庫を探した。

カエデ「そういえば、携帯なくなってたら、不審に思われない?」
レドナ「大丈夫、ちゃんと想定して、もう一個同じ機種の携帯持ってるから。
    それに、こいつらには遠隔操作があるからあんまし心配いらねーし」
カエデ「pocomoの携帯って凄いんだねぇ~」

うらやましそうにカエデが言う。
有料遠隔操作とは、レドナが使う"pocomo社"特有のシステムだ。
同機種の携帯を2個持っていると、片方からもう片方の携帯を、操作できる。
そこで、宗佑が来て、電源をいれた数秒後、ロックをかけ、電源を強制的に落とす。
そうすれば、メールや画像から判断される事も無い。
一旦は入れたのだから、あまり怪しくも思われないし、諦める可能性も高い。
後は、その携帯を要らないという発言を目の前でしてやれば、完璧である。

それから10秒もせずに、目的の金庫が見つかった。
合鍵を使い、鍵を開け、携帯を入れ替える。

レドナ「作戦終了~っと」
カエデ「お疲れ~」

トイレに行く宣言をして、1分強、作戦は終了した。
足早に、教室に戻ろうとする2人は、最悪な人物に出会った。
その人物は、風紀委員室のドア付近に立って、じっと行動を見つめていた。

レドナ「くっ・・・・」
カエデ「あっちゃー、やっちゃったね」
沙唯「・・・・・」

そこには、風紀委員副長の桜花 沙唯が立っていた。
相変わらず無表情でいた。

レドナ「もしかして、バレてました?」
沙唯「・・・・・」

黙って、沙唯はポケットから自分の携帯を取り出した。
白とピンクの彼女の携帯の画面に、2人が侵入している画像が映し出された。

沙唯「・・・・ドアに誰かが入ると、私の携帯にその写真がメールで届きます。
   ・・・・昨日から試験的に導入しています」
カエデ「やられたね~・・・・」

淡々と話す沙唯。

沙唯「・・・・授業に戻ったほうがいいです」
レドナ「・・・・え?」

レドナの予想ははずれた。
いや、この状況であれば、携帯を戻せ、と言われると誰でも想像がつくはず。
しかし、実際には授業に戻れときた。

カエデ「見逃してくれるの?」
沙唯「・・・・・」

頷きもせず、沙唯は2人を見つめる。
レドナとカエデは一瞬顔を見合わせ、それから風紀委員室を出た。

レドナ「ありがとうございます、桜花先輩」

沙唯の親切心に感謝するべく、1礼して、2人は各教室へと戻った。
もしかしたら、後で宗佑に呼び出されるかもしれない。
そんな不安を抱えつつも、いかにもスッキリした様子で、レドナは教室に入った。

沙唯「・・・・・」

まだ、沙唯は風紀委員室に立っていた。
呆然と何かを考えているように。
しかし、表情には一切それは表れなかった。

そして、30秒ほどして、ようやく沙唯は風紀委員室から出た。

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